8月7日(土)~23日(月)坂本泉Inside-Out Needles


アルプス雪解け


カントリーペイント作品

日用品やファウンドオブジェクトを素材にインスタレーションを制作し続ける坂本泉。今回は紙に刺しゅうを施してその裏側を見せるInside-outシリーズを発表。きれいに見える名画の裏側、完成とプロセス。ひっくり返すことで意識の裏にある無意識を見たい欲求。世界の見方を問いかけます。
サプライズとして坂本が90年代に暮らしたアメリカで制作したカントリーペイントも展示します。ギャルリの元オーナー天沼寿子へのオマージュです(天沼については当ホームページの沿革らんに)。

坂本泉プロフィール
山梨県甲府市生まれ
女子美術大学卒業
美術館勤務、教職を経て2001年からアート作品制作を開始
2005年からアーティストレジデンス山梨「エアリー」代表をつとめる。

作家ステイトメント:
私の美術表現の大きな動機は、毎日の生活者としての存在の中にあります。アートが私たちの暮らす社会で身近に存在することを示すために、日用品やファウンドオブジェクトとアートの価値を結びつけます。
現代社会では従来の典型的・規範的な生き方のイメージが大きく変わってきました。未経験の新しい時代へ踏み出すための、新たな価値感と希望を見つけることが私が現在アート制作をするテーマです。
ブログ→ https://izumimuzi.exblog.jp/i0/

今回の展示への思い:
糸や布、紙は育つ環境の中で常に身辺にあった身近な素材でした。そしてなぜ紙なのかと問われれば、紙に針を刺す瞬間のスリル、違和感、やり直せない(刺し直せない)緊張感に惹かれます。支持体それ自体が自立するのも紙の魅力です。またアートと手芸の境界を探ってその境界を崩す意図や、針仕事は女のものか、と問う意図があります。
今回作品のモチーフにしたいわゆる西洋名画は昭和時代にアートを志す者にとって手本でした。過去の見知らぬ国の風物と人物。それら美術の伝統は自分からは遠い所に存在する尊敬と憧れの的であり、自分の手の届かないもどかしさにも似た感情がずっと私の中にありました。今、年を経て世界を旅し人生を重ねた結果、少しは見えてくるものがあるかもしれません。まだ見たことのない新しい世界を自分の手で作り出してゆく行為はアートに携わる者に許された最高のギフトと思いながら制作しています。