7月3日(土)~19日(月)荒木イチオ ヒーリングドロップ

    荒木イチオは木材、鋼材、コンクリートなど、さまざまの素材を駆使する美術家です。その立体的で変化に富んだ作品にはいつも驚きと楽しさがあります。鴨川高校エントランス壁画、東京練馬光が丘エントランスホール壁面、東京世田谷レストランfeel壁面制作などパブリックな作品を手がけているのも、ファンタジーとドラマティックが共存する作風ゆえのことでしょう。今回の作品展では杉板にアクリル絵の具を使います。ギャルリは小さなテーマパークになります。

    略歴
    1954年函館生まれ

    多摩美術大学油画科卒

    2010年より山梨北杜市小淵沢に移住

    赤坂乾画廊個展

    銀座ギャラリーpusse個展

    新宿ギャラリー玄海個展

    西武デパートグループ展池袋、渋谷

    大丸デパートグループ展東京

    東急デパートグループ展 二子玉川

    目黒美術館 グループ展

    清里フォトミュージアム グループ展 

    日中交流展 上海、甲府、市川大門

    甲府一高グループ化

    甲府元麻布画廊グループ展

    長坂おいでや 個展、グループ展

    山梨県美術館県民ギャラリー グループ展

    作品展への思い 
    荒木イチオ

     もう5年ほど前のことですが、八王子のできたばかりの道の駅に立ち寄った時、甘い香りを漂わせている青森りんごのマルシェに出会いました。その時その傍に積まれていたりんご箱にも、懐かしく目を引かれました。我が家では冬が近付くと、この青森りんごをこの木箱ごと一箱買ってきて、玄関脇の納屋に納めるのが習慣でした。また、東京で一人住まいを始めた頃、家具など何もなく、どこでもらってきたのかりんご箱をしばらくテーブル代わりにしていたものでした。そんな思い出をひと時めぐらし、「この箱いただけますか?」と店員に伺うと、気安く「どうぞ!」と返事をもらえたので、3箱両手に抱えられるだけもらって帰りました。
    しばらく家で放置して眺めていたのですが、しだいに箱の形の面白さに惹かれ出しました。外の形、内の形、外の空間、内の空間。色を塗ったら、どんなだろう、という衝動で色を塗りはじめました。
    模様、絵柄ではなく、箱の存在と共鳴するだけの塗り。
    これはとても楽しく、新鮮な体験でした。
    また、この頃、滴り、雫、という状態に興味を持ち始めていました。
    滴り、雫にはミクロからマクロまで、さまざまなシーンに想いをめぐらされ、そんな面白さの表現にチャレンジし始めていました。
    今回の展示作品は、りんご箱の板の物としての面白さと、それが暗示する、箱としての空間を持つ面白さ、そこに、雫、滴りという悠久の時をめぐる妄想を合わせて表現することへのチャレンジです。