12:00〜17:00(土、日、月のみ開廊)
9月17日(土)15:00よりアーテイストトーク
小川格(おがわいたる)は1969 年東京都生まれ。1997年ベルギー王立アントワープ美術アカデミー修了後、2002年より東京では待機児童となった長男の保育園入園を求めて長野県茅野市へ移住、以来20年、森の中のアトリエで制作を続けています。
活動は長野県を中心に東京や近隣県、ベルギー、マレーシア、インドネシア、ポーランド゙等で展示のほか、グループ展やプロジェクトの企画、小中学校への出張授業、ワークショップ、絵画教室等も実践。
今回の個展では、「さまざまな違ったタイプの絵画作品を大量に並列する事によって、絵画がお互いに反響し合いながら、絵画同士の調和や分裂、反復や断絶、対比や類推などの多重性とその残響とを壁面で奏でたい」との思いで作品を構成しています。独特のやわらかな中間色による絵画の豊かな森を周遊するともいうべき個展となりました。
●素材
キャンバスに油彩の絵画作品。及び、紙に水彩や色鉛筆等のドローイング作品
●素材別点数
キャンバスに油彩:20〜40点ほど
ドローイング作品:10〜15点ほど
●大きさ
120号〜0号
作家からのステートメント
コロナ禍は既に三年を超えて私達の生活を侵食し続けている。
更にその少し前から、私の制作は大変苦しい袋小路に迷い込んでいた。コロナ禍を迎えた時には自分ではなんともないつもりでいたが、実際にはティーカップ中で解ける角砂糖のようにも目に見えてジワジワと、私の絵画と方法とは形を見失い溶解していった。6〜7本もの展覧会予定が延期または中止となり、〆切りの無い無際限の制作は以前なら筆を止めていたであろう絵画に余計で不要な筆を入れ過ぎる事によって次々とそれらを破壊する結果を生んだ。出口があるのか分からない暗く陰鬱なトンネルをトボトボと歩く心象が、更に暗い心持ち増幅させたのだった。
だが昨年、今回のイグレグにての展示が決定し、それをトンネルの出口の明かりと信じて、絵を大量に駄目にしながらも何とか歩を前に進める為の糧とした。ご批評ご高覧頂けますと幸いです。
茅野市に移住の動機や年月
ベルギー留学から帰国し二年程が過ぎた頃、長男が生まれた。
住んでいた東京では当時も待機児童で溢れ保育園への入園は難しく、また私には絵画制作する場所も無かった。
長野県茅野市の山奥には両親の建てた家がありそこにはアトリエとなる場所もあった為、市役所で尋ねてみると、長男はすぐ近く(といっても6キロ先)の保育園に入園させてもらえる事となり2002年に一家で移住、三年程度で東京へ帰るつもりだったが次男も生まれ、育児には良い環境だなと思いながら、いつしか二十年もの月日が経った。ふと時折、東京にずっと住み続けていたらどうなっていたかと夢想する刹那もあるが、詮無いことである。沢山の人々との出会いは移住した故に生まれ得た僥倖である。この地での充実した期間だったと信じている。
「誰もがその願ふところに
住むことが許されるのではない」
という一節が、昔好きだった昭和の詩人、伊東静雄の処女詩集にあり、移住したての頃よく反芻していたことを今ふと思い出す。
そう、今回の展覧会タイトル「リヴァーブ(反響)」とは、その伊東静雄の第四詩集『反響』(と音楽用語と)から採った。『これ等は何の反響やら』
近年の展覧会(抜粋。★印は個展)
2022年 「大地の芸術祭 越後妻有2022」(Ongoing Collectiveとして)(三省ハウス/新潟)
「イナイナイアート in 笹離宮」[企画提案:小川格](笹離宮(蓼科笹類植物園)/長野)
「MIX 岡谷アートフェスティバル2022」(岡谷市美術考古館、テクノプラザ岡谷/長野)「みのかもannual 2022」(美濃加茂市民ミュージアム/岐阜)
「マチノマドvol.2」(アトリエT 風我/長野)2021
「ギャラリー・バードハウスvol.2」[企画提案:小川格](茅野市内5つのミュージアム/長野)2020
「ゴチャマゼの混乱」★(ギャラリー・アマノ/山梨)
「メイメイアート・オンライン」★(長野県「頑張るアーティスト応援事業」によるWEB上の個展)
「イナイナイアート」[企画提案:小川格](茅野市美術館/長野)
「ALTER EGO」(Line Side Cafe/岐阜)2019 「ぼくの好きな先生(方)」★(アートセンター・オンゴーイング/東京)
「International Workshop of Painters Symposium of Local Cultures」(スタリソンチ(ポーランド))
「マチノマド」(岡谷市美術考古館/長野)2018
「カラッポからはじめて(中洲小学校とのコラボ展)」★(諏訪市美術館/長野)
「メイメイアートinジョグジャ」[企画:小川格](ACE HOUSE COLECTIVE/ジョグジャカルタ(インドネシア))2017
「96粒涙滴」★(ギャラリー・アマノ/山梨)2016
「DUIKBOOT(潜水艦)」(De Lange Zaal KASKA/アントワープ(ベルギー))2015
「テトリス・ハイ」★(アートセンター・オンゴーイング/東京)2014
「いろのしずく、いみのあぶく」★(八ヶ岳美術館/長野)2015, 2017, 2019
「メイメイアートvol.1~vol.3」[企画提案:小川格](茅野市美術館/長野)2014~2018
「まちの展vol.1~vol.5」(茅野市民ギャラリー及び茅野市街/長野)」